食道閉鎖症に対する胸壁外食道延長術 (1993年)

先天性食道閉鎖症は5,000出生に1の割合でみられ、代表的な新生児外科疾患である。胚芽期に気管と食道が分離する過程で異常が発生すると考えられている。

患者の10%は、上下食道が盲端におわり気管と連絡のないタイプ(pure食道閉鎖症)である。このタイプの特徴は上下食道の距離が大きく、一期的に上下食道を吻合することは極めて困難である。このタイプの食道閉鎖症の外科治療は今日に至っても、尚、論議が多く標準手術手技が探索されている。

筆者は、一期手術として前胸壁食道ろう造設および胃ろう造設術、二期、三期的に上部食道の前胸部皮下延長術をおこなった後、上下食道端端吻合による食道再建手術を考案し、11例に施行、良好な成績をえた。その1例を展示する。

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