ライブドアv.s.フジテレビ

ニッポン放送の経営権をめぐるライブドアとフジテレビの攻防戦は、アメリカンの視点からみると、なかなか興味深いものがあった。ライブドアの社長もフジテレビの会長も、相手の会社を「さん」づけで呼ぶ。まるで、会社を尾張家、松平家などの「お家」と見なしているようだ。その通りだと、攻防戦関係者の言動のすべてが読める。

アメリカンの理解するところでは、会社はまず株主からの資本提供によりスタートする。大株主は社長を選び経営を託す。社長は社員を組織し、ビジネスを進めて株主に利益をもたらすのが任務だ。株は市場の原理で売買されるから、大株主は随時変って当然。大株主が変れば、会社のトップも経営方針も変る。この変動は、不遇をかこつ社員には、千載一遇の出世のチャンス。新しいトップや方針になじまなければ、辞めて違う職場を求めるまでのこと。社長や社員にとって、会社は運命共同体に非ず、利得を分かち合うだけの営利団体というのが、一般的アメリカンの会社観である。

一方、ニッポンでは、会社は「お家」であるから運命共同体。一大事が降りかかれば、社長社員は、命をかけても会社を護り通すのが男の美学だ。「ニッポン放送はフジテレビとともに歩む」というニッポン放送の社長の公言や、「われわれはライブドアを拒否する」という社員一同の声明は、その確たる証拠。これには、アメリカンもびっくり仰天。ライブドア支配の暁に、声明ゆえに、社員一同、職を失う心配はないのか。ホリエモン社長の寛大さを祈るのみである。

「ライブドアなら番組を降りる」と言うタレント諸氏の真意が判らない。ギャラの倍増を持ち出す絶好の潮時、とアメリカンは思うのだが。

息を顰めて成り行きを見る場面なのに、みんな、無邪気にラッパを吹き鳴らし、旗色を明らかにする。アメリカンには不可解である。

(出典: デイリースポーツ)

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