海外からみた今度の選挙

今度の選挙は、ホノルルの我が家でテレビを見ただけだったが、なかなか面白かった。ライフワークとする郵政民営化法案が参院で一部自民党員の反逆により否決されるや、小泉首相は、間髪おかぬ衆院解散、反逆派に対しては非公認、有力対抗馬の擁立、選挙後の党籍剥奪など、迅速、明確でスジの通った決断を下した。その手法は、あたかも熟練外科医の手術のような鮮やかさだった。選挙中は、争点を郵政民営化の是非に絞ったのも効を奏した。

1993年の選挙直後、自民党と社会党が野合して出来た村山内閣に世界は唖然とした。この野合は、信条の違う両党それぞれに期待をかけて投票した国民を欺くものだった。野合するなら、もう一度解散し、選挙で民意を問い直すべきだった。以来、政党は都合のために信を裏切る集団として、国民の信頼を失った。

今度の解散で、小泉首相は強い党首としてスジを通し国民の信を取り戻した。従来の首相なら派閥実力者の顔色を伺い、解散の決断を下さなかったことだろう。それと比べると、なんとも心地よい行動だった。党規に反するものは切るという歴史的な決断に、国民は喝采した。「自民党をぶっ潰す」という首相就任時の言葉を、有言実行したのだから人気が上がらない筈がない。かくして自民党は大勝した。

それと対照的に民社党は大敗した。交代で政権を担うアメリカの共和、民主の2大政党と比べると、ニッポンの第2党である民社党は、政権交代するには準備が足りない。マニフェストは総花的で現実味がない。党内にイデオロギーの違うグループを抱えているかぎり政権担当は困難だろう。

新リーダーに選ばれた前原党首の仕事は、民主党を、同一のゴールを目指す組織集団に再編成することだ。小泉首相が郵政民営化法案否決に対して決断し実行した勇気を、国民もアメリカンも、あなたに期待している。

(出典: デイリースポーツ)

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