傍若無人のニッポン人ゴルファー

ホノルルに移るまえの下見で、ゴルフコースがクルマで10分以内にあるのを確かめ、いまの住まいを我が家と決めた。そのハワイカイゴルフゴルフコースで毎週火曜日、引退したビジネスマンのジョンやビルたちとラウンドを重ねて3年になる。3年も通い詰めるとフロントのスタッフは顔見知り。予約が一杯でも、前後のティータイムに隙間を空けて、“ドクターキムラスペシャル”と呼ぶ特別スタート時間を創造してくれる。

或る日いつものようにプレーしていると、「前の連中はプレーが遅い。多分初心者でゴルフのマナーを知らないんだよ。誰か行って教えてやらないと・・・」

ジョンは連中をニッポン人とみて、暗に私をけしかる。連中の前2ホールは無人の空き家。振りむくとカート4台が渋滞し、2組8人が険しい眼差しで腕組みしている。

渦中の若いニッポン人ゴルファーたちは、二人で1台のカートをフェアウイエイの真ん中に停め、それぞれがまず手ぶらでボールの側まで行き、クラブの選択をきめるとカートまで引き返し、クラブを手にして再びボールに歩み寄るという愚かな動きをしている。自分で状況判断ができないのは、日ごろ、世間や、親や、キャディに甘えているからだ。

セルフプレーのゴルフでは、プレーを効率よく進行するために、プレーヤー各自の判断が必須だ。どうしても遅れる場合には、潔く後のグループにパスさせる。

若者たちのグループに近寄って、「ちょっとあんたら、えらい遅れてまっせ。さっさとプレーするか、うしろの組をパスさせるか、どっちかにしなはれや」と言ってやった。礼の一言も返さずシカトを決めこむ無礼に、無性に腹が立つ。「他人の迷惑が判らぬアホども、我さえよければよいという悪習はニッポンに残して、出直して来い」と口に出しかけてやめた。ゴルファーは紳士たらねばならない。

(出典: デイリースポーツ)

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