心筋梗塞の起こる厄日

「ニッポンでは、心筋梗塞が起こりやすい曜日は、男性と女性で違いがあります。さて、それぞれ何曜日でしょう?」

明日はハワイに戻るという最後の夜、冷たい春の雨に散る桜を惜しみながら、大阪城に近いホテルの寿司屋で、しばし別れの宴を開いてもらった。その席上ドクターYが出したクイズがこの問題だ。

ドクターYはアイオワ大学に2年間留学し、研究生活のあとで帰国したところ、前のオーナーの放漫経営で軒の傾いた育和会記念病院の再建を任せられ、弱冠38歳で学究生活から病院経営に転じたという御仁だ。病院の経営は2年しないうちに完全に立ち直り、大阪の地域医療に貢献している。

ドクターYと話すと普通の病院経営者とちがって、会話の端々に学究時代の名残がにじみ出てくる。

「答えをお教えしましょう。熟年勤労男性は月曜日、家庭の主婦は土曜日です」
「それはまたどうして?」
「心筋梗塞は心臓の血管が詰まる熟年の病気で、発症にはストレスが関与すると言われています。昔から、週末のあと職場にもどる憂鬱な月曜日を“ブルーマンデー”と呼んできました。ニッポンの熟年男性にとっては、憂鬱を通り越して命がけの月曜日なのです」
「女性は土曜日というのが腑に落ちないね?ウイークエンドだから十分リラックスできてよさそうなものだけど」
「週末になると、亭主が1日中家の中でゴロゴロしていて、あれこれうるさく文句を言うでしょ。そのストレスがカミさんの心筋梗塞の引き金を引くのです」
「あらためて尋ねますが、年金生活を送っている引退生活者にとっても厄日となる曜日はあるのかな?」
「センセに限って、それはないと保証します。実は、いまこのホテル内で開かれている循環器病フォーラムに顔をだして耳にした情報をお伝えしただけなのですが、次回お越しになるまでに、引退生活者の厄日を調べておきます」

(出典: デイリースポーツ)

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