アメリカの郵便局

アメリカの郵便事業は国営である。だから各市町村の郵便局は連邦政府の末端事務所を兼ねている。たとえばパスポートの発行は連邦政府のビジネスだが、郵便局の窓口で申請書類、顔写真、料金を添えて申し込むと、別の州にある旅券センターで作成した旅券を数週間のちに郵送で届けてくれる。9・11テロ事件以来、旅券発行は特別に審査が厳しくなった。発行には通常6週間ぐらいかかるが、急の海外旅行で早急に入手したいなら、倍額の手数料を納めると1週間以内に間に合う。

ニッポンに滞在している留守の間、ホノルルの我が家宛の郵便物は、ひと月以内だと局留めにできる。留守がひと月以上になると旅先の住所を前もって届けておけば転送してくれる。この転送サービスは、通常は封書に限るが小包その他の郵便物でも指定すれば送ってくれる。広告などのジャンクメールは局員の判断で廃棄処分してもらえる。

そのお蔭で、不在中に我が家に送られてきた各種請求書は2日後にはニッポンに届く。電気、電話、水道代やテレビ料金などは、大阪の住まいに居ながらにして小切手を書き、航空便で送れば支払期限に十分間に合う。

転送サービスに大感激していたら、転送は世界中どこでも無料と聞かされ思わず涙がこぼれた。役所の仕事というものは本来かく在るべきではないか。アメリカの郵便局は住民の不便や負担軽減のためあらゆる努力を試みている。だから民営化の声を聴くことはない。ちなみに国内普通郵便は41セント(45円)、国際航空便は一律84セント(90円)だ(いずれも15グラムまで)。

「転送申込書に社会保障番号記入欄があるのはどうして?」女性局員に尋ねると「転送先から宛先変更などの連絡を受けたとき、本人確認のパスワードに使うのです」 9桁の背番号はここでもアメリカンの日常生活の利便に大きく貢献している。

(出典: デイリースポーツ 2008年2月14日)

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