世界恐慌?

この1週間、世界各地の株式市場は急速な値下がりにより人々を恐怖のどん底に押しやった。

10年前ニッポンのバブル崩壊で数千円台に落ち込んだ東証平均株価も景気の回復とともに、にじりよるように上昇し1万数千円に達していた。ところが、サブプライムローンによるアメリカのバブル崩壊によってわずか1週間で8千円台にまで急落した。ニューヨークの株価暴落はたちまちヨーロッパ各地に飛び火し、時を待たずしてニッポンにも及んできた。

引退外科医にとっては退職年金の運用益が家計を預かる収入源だ。株価の今度のような大幅下落はそれこそ生活にかかわる一大事と言っても大げさでない。

早速、資産運用管理専門家で永年の友人のジョンに連絡をとってみる。「なにも怖れることはないよ。株価の下落は底値をついたら自然に止まり、再び上がり始める」と楽天的。「下がりすぎて倒産することは?」「会社によってはあるだろう」「それを心配して連絡したのだよ」「大丈夫。投資信託のいいところは何百もの業種に分散投資しているところだ。万が一、カバーする業種の総てが破産したらそのとき世界は崩壊する。現実にはありえない」ホントウかな?

「株の上下はコンピュータのはじきだす数字の変動だけ。売買しなければ損得の実感のない虚業の世界さ。投資で大事なのは時間と忍耐だよ」と超楽天的なコメント。過去20年間付き合ってきたが、口惜しいかなジョンの宣託は外れたことがない。ありがたいご宣託に素直に従い様子見と決めたところだ。

「メディアの報道にあおられ、あわてて持ち株を売って破産した投資家をゴマンと見てきた。くれぐれも風評に惑わされて愚かな行動をしないように」と念を押されて会話は終わった。ここ一番はジョンの言うとおり忍の一字でしのぎ通せば、大怪我せずに乗り切れるだろう。

(出典: デイリースポーツ 2008年10月16日)

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