オバマ効果

「ハワイ出身の黒人がよくぞ当選してくれました。みんな元気がでましたよ」会う人ごとにハナシはこんどの大統領選挙で持ちきり。それほどにオバマ新大統領の誕生は、太平洋に浮かぶゴマ粒様の島の衆にとって、一生に一度の一大事だった。

これに目をつけた観光業者は早速“バラクオバマ観光ツアー”なるものを売り出した。オバマ氏が幼少の頃暮らした家、名門プナハウ校に通った高校時代に店員としてバイトしたアイスクリーム屋、休日を海辺で過ごしたサンデービーチなどをつぎつぎとバスで案内するツアーが人気上昇中だ。

自慢ではないが、ハワイは学童生徒の学力テストでは、全米50州の最下位グループから何年経っても抜け出せない。そんなハワイから大統領が誕生したのだから「それ見たか。学力テストの平均点なんか何するものぞ。劣等生のお前達でも努力次第でホワイトハウスへの途は開けるのだぞ」と出来の悪い息子や娘に言って聞かせる親たちが増えているという。

「チェンジ!(変革)」を唱え死力を尽くしてヒラリーを倒しマケインに打ち勝ったバラクオバマは、アメリカに住む非白人グループに希望をもたらせた。バラクの当選は「自由主義社会では、人はその人となりで評価される。皮膚の色や、背後にある家柄や、特定政党や支持団体に左右されるものではない」という事実を明確に示した。それはマイノリティの若者たちに、大きな希望と勇気を与えた。十年単位で将来を展望してみると、その効果の大きさが判る。

米国では上院議員100名のうち世襲議員は数名のみ。変革好きなアメリカンの有権者に世襲はなじまない。一方ニッポン各界のリーダーたちは2世3世ばかり。年毎に交代する力不足の首相たちを太平洋のこちら側から眺めると乳母日傘で育ったひ弱な雛に見えて仕方がない。

(出典: デイリースポーツ 2008年12月11日)

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