ドギーバッグ

「センセ、今日の新聞にレストランでドギーバッグ制度を始めたと書いてありましたが、これは一体何のことですねん?」

1週間まえに寒いニッポンに着いて久し振りに大阪のオッチャンと会った。

「ドギーバッグというのは、レストランで食べ残した料理を容器に入れてもらい自宅に持ち帰って食べるというアメリカでは何十年も昔からある習慣です。こうすれば食べ物を無駄にせずに済むでしょ」
「なるほどええ考えですな。ニッポンではなんで今まで誰も気づかなかったんやろ」
「ニッポンにきてレストランで食事するたび、食べ残しをドギーバッグにして欲しいと頼んでみましたが店の人に断られてばかりでした。保健所の規則では食べ物は一切店外持ちだし禁止というのがその理由でした」
「そのワケは?」
「客が後で食べて食あたりでもしたら責任問題になるからだそうです」
「それは無茶でんがな。普通オトナやったら食べ物が傷んでいるかどうかぐらいアホでも判断できまっせ」
「ボクもそう思います。でもニッポンの役所は国民を幼稚園児扱いするのが好きなのです。国民も役所の指導に従うのが好きなように見受けます」
「言われてみるとニッポン人は稚拙なところが多いでんな」
「この愚かな規則とニッポン独特の賞味期限が併さって、年間に数百万トンもの食べ物を無駄にしています」
「今回役所はどうして規則を変える気になったんでっしゃろ?」
「不景気風が吹き始めて遅まきながら気がついたのではありませんか?」
「ところでなんでドギーバッグいいますねん?」
「あるとき高級レストランで食事を済ませた上流夫人が『食べ残しは宅の犬に食べさせますから袋〔ドギーバッグ〕に入れて頂戴』と頼んだのが始まりと聞いております。お宅では勿論ご自分でお上がりになったようですが」
「なるほど。ドギーバッグは犬の袋いう意味でっか。アメリカ人もオモロイこと言いますな」

(出典: デイリースポーツ 2009年1月22日)

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