新型インフルラプソディ

新型インフルでニッポンは狂乱と化した。

水際作戦は新型インフル罹患者を国際線の機内で発見し周辺座席の乗客とともに空港近くの病院やホテルに強制隔離するという手順だ。ニッポンにこれほどの強権を許す法律があったのかと感心すると同時に、機内で罹患者とコンタクトした客室乗務員の隔離は不要なのかという疑問が湧く。この水際作戦では現地出発直前に罹患者と接触した人を発見隔離出来るのだろうか?あれこれ考えると疑問だらけだ。水際作戦では新型インフルの浸透を防げないぞと悲観していた。

数日まえに兵庫県と大阪府で渡航歴のない高校生に新型インフル罹患者が見つかり悲観は現実となった。関西一円の学校は1週間の休校。「不要な外出を控えろ」という政府の呼びかけにデパートや商店街は来店客の大半を失った。阪神間を結ぶ交通機関にも空席が目立つ。経済活動は大きくダウンしたままだ。

恒例の神戸まつりはキャンセルされ数十億円の損失を生んだ。修学旅行の旅立ちに新大阪駅に集結した学童たちは、乗車直前に旅行の取消しを宣言され嘆きの悲鳴をあげた。「外出には必ずマスクを」というお上のおふれがでると薬局やドラッグストアのマスクはたちまち売り切れた。

「センセ、アメリカでもこんな騒ぎになってまんのか?」
大阪のオッチャンが真顔で問いかける。
「答えはノーです。こんな事態にアメリカでは専門家集団である医師会が対策を発表し国民はその指示に従います。水際作戦には限界がありマスクの感染予防効果は明確でないと知っている米国の医師たちは、むしろ罹患発病者の治療を優先する立場をとります」
「へえー!それやったら、なんでニッポンの当局は予防に力を注ぎまんねん?」
「ニッポンでは、新型インフル国内浸透のような事態には医師会ではなく役所が対処します。役所の仕事に『手落ち』があると一大事です。『手落ち』防止のためには、水際作戦やマスク奨励の効果の有無を検討するよりも『手を尽くした』という事実の方が大事なのです」

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