竜巻はトラックをもなぎ倒す

6月下旬、梅雨が始まりを避けるように大阪を発ち、冷たい貿易風が肌に心地よいホノルルに戻った。ハワイの夏は乾季である。ここ2ヶ月雨らしい雨は降っていない。裏山を覆う潅木も枯れ果てて地肌が見える。これほど日照りが続くと散水もママならず、固く乾いたフェアウエィは、ニッポンの冬場のコースのようなベージュ色は。ティーショットは50ヤードもランしてかなりの距離を稼げる。

4年半もの間一度も休まず毎週続けてきたコラムだが、この辺で短い夏休をとってもよかろうと、2、3回のつもりで執筆を休んだ。3週間が過ぎさあ書こうという段になると、なぜか気力もアイデアも湧かない。ま、世間も今は夏休だ。あと2、3週間ぐらい休んでも罰は当たるまいと我が身を甘やかす。6週間が過ぎて、このままだと、もう2度と筆を取れないのでないかと心配になってきた。

その間にも、梅雨のニッポンでは豪雨、地すべり、山崩れに加え、竜巻のタッチダウンで被害がでたと聞く。当局は「竜巻と思われる突風」と曖昧な発表をしているが、1年間に1000回も竜巻がタッチダウンするアイオワ州で14年間暮らした経験では、テレビに映る被害状況は、間違いなく竜巻だ。

ハイウェーを走行中に竜巻に遭遇すると、クルマごと数十米も宙に舞う。集落にタッチダウンすると人家は地下室のみを残し、地上部分は完全に消失する。竜巻中心の風速はピストルの弾より速い。地面から舞い上がった麦わらが、木の幹に5センチも突き刺さるほどのエネルギーを持つという。

 竜巻の嵐が通り過ぎたあとの高速道路をドライブすると、巨大なトレーラートラックが何十台も路肩に横倒しになっているのを見かける。ドライバー達はみんな側溝に飛び込んで無事だというが、竜巻を侮ってはいけない。米国では毎年数百人もの生命が失われているのだ。

ニッポンでもこれほど頻繁になると、竜巻に関する教育と予知するテクノロジーの開発が要るのでは?