シカゴ

アイオワシティからシカゴまでは約340キロ。80号線を東に向かいミシシッピー川を渡ってすぐ88号に乗り換え、さらに200キロ先がシカゴだ。空路ならジェットで35分。クルマだと大平原のまっすぐな道を時速120キロで疾駆し通しても3時間はかかる。

先週8年ぶりにこのルートを走った。途中、大嵐に遭遇しゴルフボール大の雹にクルマの屋根を叩かれ、あわてて陸橋下に退避するハプニングもあった。

シカゴ郊外に近づくと高速道路を次々乗り換える。「シカゴ」と書いたサインを追っていけば、自然に目的地のミシガン大通りに滑り込む。米国の高速道路標識はドライバーに判りやすいように出来ている。合流点の1マイル(1.6キロ)前に差し掛かると「シカゴ方面290号線に乗り換え、1マイル先」と大きなサイン。あと半マイル地点で「シカゴ方面、右に寄れ」。4分の1マイルになると「シカゴ、右車線のみ」に替わる。それぞれの出口には降りて最初に遭遇する道路名が明記されている。

この表示方法は全米共通の原理原則でデザインされているから、全く初めての土地を訪れても、市名、町名、番地さえ頭に入れておけば、迷うことなく目的地に到達できる。

途中いくつか通行料徴収のブースがある。手前には「この区間、道路補修財源確保のため有料」というサイン。料金は1区間2ドルまで。国道だが料金の徴収や路面の補修は管轄の自治体がする。これだと道路公団は要らぬ。区間の補修が終わると無料に戻るのだ。

振り返ってニッポンを眺めてみる。たとえば大阪から阪神高速で三宮に向かう人はどこで降りたらいいか判らない。三宮は「京橋」が出口だが、両者の関連は神戸っ子にも理解できない。利用者の利便より役所や公団の都合で命名するとこうなる。道路ひとつにも「民主のアメリカ、官主のニッポン」の特徴が現れ、退屈しないドライブだった。

(出典: デイリースポーツ 2008年7月24日)

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