いらちの大阪人

3ヶ月続いた沖縄暮らしも終りに近づいた先週末、ニッポン列島をカバーした寒波のせいで、南国沖縄にも予期せぬ冬が訪れた。暖房のない部屋のなかでは、厚着していても寒さに震える。これは堪らぬ、早く暖かいハワイに逃げて帰ろうと、大阪行きの全日空機に跳び乗った。

大阪行きの便に乗ると、他の空港にない体験をする。「飛行機がゲートに到着して完全に停まるまで、シートベルトは締めたまま、お席をおたちにならないようお願いします」という客室乗務員のアナウンスもものかわ、まだかなりのスピードで動いている機内で、早くもカチカチとシートベルトのバックルをはずす音がする。動く機内の通路に立ち上がり、頭上の収納庫から荷物を下ろし始める者もいる。なんといういらち人間。

おっさん、おばはん、そないにいらいらして、どないしまんねん?

「お席を立たないでください」という再三の機内放送など何処吹く風。所定の場所に機が停まり、ジェットウエイが伸びてきてドアが開くと、今度は、われ先に外に出ようと押し合いへし合い。収納庫から荷物をおろしている後ろをすり抜けて、前へ突進しかける若い女性に、「ちょっとあんた、飛行機から降りるときには、前から順番という決まりを知らないの」といってやったら、「あ、そうなんや」と、とぼけた返事が返ってきた。

ようやく機から脱出してロビーに出てみると、こんどは一団となり、建物の出口にむかって一目散に駆けていく姿が目にはいる。空港バスに乗り遅れると、次のバスまでの30分近くを、寒風吹きさらすなか、行列をつくって待たねばならぬ。それを嫌って、ゲートから出口までを全力疾走するのだという。

「大阪人はなんでも先々考えて行動するのが特徴でんな」浪速の友に水を向けると、「そうやおまへん。いらちは、みーんな他所もんでんがな」だと。あきれた。

(出典: デイリースポーツ)

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