耐震偽装被害も保険があれば

耐震偽装事件の被害者たちは、折角手に入れたマイホームから立ち退かされたうえ、建て直しには更なる巨額の出費という二重の苦難に悩んでいる。このハナシをアメリカンたちにぶっつけてみた。すると異口同音に、「マンションを買うまえに、業者が保険に入っているかどうか、なぜ調べなかったの」という声が返ってきた。

ホノルルの電話帳で建築業を開いてみると、許可番号のほかに“保険加入”を明記している業者が多い。施工が依頼主の意向に添わずやり直しになった場合には、その費用を保険でカバーするという意味だから、安心して施工を任せられるという証になる。

ヒューザーも木村建設も、この保険に加入していたら、こんどの建て替えの費用をカバーできたであろう。こうした保険がニッポンにあればのはなしだが。

「業者は保険に入っていませんでした。他に何か救済策はありませんか」
「マンションの住民組合が加入している保険はカバーしないのですか」

住民組合加入の保険を、いま住んでいるマンションを例にとって説明すると、わがマンション住民組合は、15階建て、112戸の建物の損害に対し、25億円を上限にカバーするという保険に加入している。そのため年額600万円の保険掛け金を、徴収した維持費から支出している。この保険が、こんどの耐震偽装被害のような場合、カバーするかどうかについては、調べてみないとわからないという。

マンション全体をカバーする住民組合の保険とべつに、各家庭で起きた火災や水漏れその他をカバーする保険は戸別に購入する。戸別の災害保険は自宅および近隣の修理費用のみならず、移住の費用などもカバーする。

アメリカは自主責任の社会である。自分の安全は保険で護るしかない。安全神話が崩れ去ったニッポンでは、もっと多種多様な保険が必要なのでは?

(出典: デイリースポーツ)

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