アメリカの小学校

ニューヨークの小学校に招かれて、供覧手術に訪れた10数カ国のスライドを見せながら、各国の子ども達のライフスタイルについて特別授業をした。この市立小学校の1学年は60 名余り。それを3クラスに分け、1クラスの生徒数は18から22名だ。「受持ちが20名を超えると、各生徒の家庭の事情や、性格、長所短所、学業能力を把握した全人格指導が困難になり、理想の教育が出来ません」と3学年のクラスを受け持つ教師のスーザンはいう。

この小学校には持ち上がり制度はない。スーザンは3年生だけを受け持つ、いわば3学年教育のプロである。年度末が来ると1年間教えたクラスを4年目担当の教師に手渡し、進級してきた新3学年を教え始める。

その日は1日中授業参観をさせてもらった。スーザンが各生徒の家族全員の名前は勿論、ペットの名前まで全部覚えているのに強い印象を受けた。生徒一人ひとりの長所短所を熟知し長所を褒めることにより、学習にたいする興味を引き出すテクニックは見事である。

授業中に席を離れたり、私語を交わしたりなど勝手な行動をとる生徒は一人もいない。まるで熟練した猛獣遣いの巧みの技を見るようだった。

6学年18クラスに交代要員を入れた教師23名に対し、支援スタッフ45名が配置されている。教材の準備、刷り物の手配、教室の掃除、給食、営繕、事務会計などはすべて支援スタッフがやってくれる。だから教師たちは、スーザンのような教育のプロでいられるのだ。

ニッポンは世界主要30カ国中、教育の対GDP公的予算支出比率が最低なのをご存知か。米英仏が5%を超えているのに日本は3.8%に過ぎない。これでは20人学級の実現や、教師を支援するスタッフの雇用は不可能だ。安倍首相は教育改革に全力を注ぐと明言した。

善は急げ。まず教育予算の倍増を期待する。

(出典: デイリースポーツ)

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