紅白ストリップ合戦

大晦日の黄昏どき、ホノルルのそこここでは、待ちかねたように爆竹が鳴り始める。暗くなると大小の自家用打ち上げ花火が夜空を彩る。爆竹や花火で新年を祝うのは中国伝来の習慣だが、いまは国籍を超えて全家庭に広まりホノルルの習慣として定着した。

同じスタンスをとるのがニッポンのNHK紅白歌合戦だ。毎年紅白歌合戦はホノルル時間の午後4時に放映がはじまる。世界の百数十カ国にNHKの電波が届けるこの名物番組は、海外に在住するニッポン人だけでなく、現地の人の間でも人気がある。

去年の大晦日も例にもれず、まだ日の高いうちから一杯やりつつ、紅白のショウをエンジョイしていた。番組の終盤になって、ド派手なステージで踊っていた男女が、突如、パッと上着を脱ぎ捨て、パンツひとつになった。上半身は丸裸だ。耳を劈くリズムに乗って、乳首もリアルな乳房が揺れる。なんじゃ、これは? 視線を釘付けにしていると、今度はパンツをずり降ろして真っ裸。女性の股間に突き出たバナナのような突起物を見届けた瞬間に暗転した。なんともいえぬ嫌悪感に襲われ、そのあと酒までまずくなった。

NHKはニッポンという国の顔を世界に伝える半国営放送局だ。そのNHKがこんなに下劣な場面を電波に乗せるのは言語道断。薄い衣装を着せていたという言い訳は、詭弁に過ぎぬ。

数年前、スーパーボールの開会式で女性シンガーが乳房をぺろりと露出した場面を電波にのせた米国のテレビ局は、驚くほど多額の罰金をとられた。ポルノやストリップなどに制約なしのアメリカだが、見る見ないはともに個人の権利だ。テレビやラジオの電波は公共のもの。視聴者の「不快な場面を見ない権利」を護るため、厳しい規制が設けられている。

ニッポンでは、今度の紅白が放映した卑猥場面のせいで、また視聴料金の不払い運動が起こらぬかと懸念している。

(出典: デイリースポーツ)

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