歩道を走る自転車は大阪の恥

「来る途中の交差点で自転車に乗った人を轢くところでした。とても恐ろしゅうございました」テーブルにつくなりお絞りを手にしたTさんが芦屋からの道中体験したニアミスを語ってくれる。場所は大阪で行きつけのイタリア料理「ドンキショッテ」。Tさんファミリーと出合ったのもいまの淡路町に移転したあとのこの店だった。

「左折のシグナルを出しているのに、それを無視して信号が変わったとたん、わたしの左側を直進するのですから避けようがありませんわ」
「でもご無事でなによりでしたね。大阪に住んであきれたのは自転車が我がもの顔で歩道を通ることです。後ろから音もなく近づいてきて猛スピードで側を通り抜けるのですから、安心して歩くこともできません。少しでも身体に触れたら数億円の損害賠償訴訟を起こしてやろうと考えているところです」
「センセ、それは無駄ですわ。相手はお金のない若者ですもの」
「いえ、金銭が目的ではありません。高額の訴訟で世間の注目を集めて規制法設定への問題提起とするのです」
「でも莫大な訴訟費用がかかりますわよ」

議論が白熱してくるとシェフが丹精込めた料理の味もどこへやら。定番のネロという銘柄の赤ワインの香りも鼻息で吹き飛んでしまう。

「今朝も片手にした携帯メールを見ながら信号無視で突進してきた若い女性の自転車に当たりそうになりました。この子はミニスカートのすそがめくれ上がって花模様の下着が丸見えなのに知らん顔。あられもない姿でサドルにまたがったままメールに熱中しているのです。オンナをこれほど夢中にさせるメールには一体何が書いてあるんやろと興味を持ってしばらく眺めていました」
「センセ、メールよりも花模様に興味がおありだったのではございません?」

オンナも熟女になると惻隠の情を欠くので困る。

(出典: デイリースポーツ)

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