まがいモノ横行のニッポン

秋分の日を境に秋風が吹きこおろぎの声をきく。頃はよしとホテルのレストランに予約をとりウキウキ気分で出かけた。テーブルに座ると間髪おかず「何をお召し上がりですか?」と長身のウエイトレス。その唐突さに一瞬引いたが「まず飲み物を尋ねてよ」と反撃。「失礼しました。それではお飲み物は何になさします?」「うっ!もう1、2分頂戴」マニュアルに間の取り方の記載はないようだ。何にするかの思案も外食の愉みのうちなのだ。

しばらくして「お決まりになりましたでしょうか?」「ボクはニッポン産のシャドネーをグラスで。家内はウーロン茶」「かしこまりました。あの、お召し上がりのお料理はお決まりでしょうか?」「そんなに急かさないで。まず飲み物を持ってきなさい」「かしこまりました」

間もなく戻ってくると「お客様。申し訳ございません。生憎当店では国産のワインはお出しできないことになっております。その代わりフランス、ドイツ、イタリア産の一流銘柄を取り揃えております」なっているのではなくて仕入価格が判るから出さないでしょ。「アメリカのワインはないの?」「生憎本場のヨーロッパ産ばかりでございます」「アメリカを本場から外す理由は何?カリフォルニア1州でフランス全土の生産量をしのぐ世界一のワインの大産地なのに」「???」大方のニッポン人はヨーロッパグッズの盲信的崇拝者だから、ま、仕方ないか。

「ではハウスワインをグラスで」「かしこまりました」本場フランス産の代物はあまりにまずくて飲めなかった。安ワイン一杯に2千円もチャージされて目を剥いた。一流ホテルがこんな商売をしていいの?コメに限らずニッポンではまがいモノで大儲けする悪徳商法が横行している。フランスの安物ワインを恭しく飲まされて、「本場もんや」などと喜んでいる場合ではありませんぞ。

(出典: デイリースポーツ 2008年10月2日)

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