真の郵便サービス

桜の盛りは過ぎたが、つつじやさつきのピンクが新芽の若緑に映える大阪に着いた。持参のスーツケースを整理してみると、常用薬の残りが1週間分しかないのに気づいた。ホノルルを発つまえのチェックリストに「補給」をうっかり書き漏らしたのが原因だ。これから2ヶ月ものニッポン滞在中、血圧のコントロールが出来ないと困る。早速ホノルルの薬局に電話すると薬は2ヶ月分用意するが郵送は出来ないという。困ったときの神頼み。ゴルフ仲間のY子さんに連絡し、薬局で薬をピックアップし国際速達小包で送ってもらうようお願いした。

パッケージは48時間のちに我が家に配達されたが外出中で不在。郵便受けに残された配達通知書には幾つもの受け取り方法が指示されている。「X日間は局留めにしておくから印鑑をもって取りに来い」という紙切れ1枚を残した昔の郵便局時代と比べると今のサービスはまさに雲泥の差だ。指示された時間に電話すると応対に出た男性職員の言葉の隅々にまで尊敬の念が感じられた。薬はきっちり指定した時間に届けられ一息ついた。郵便は民営化後際立って便利になった。その事実に逆らって郵政を国営に戻したい人たちがいる。醜いアナクロニズムのウラにはよからぬわけがある。要用心だ。

米国の郵便局はいまでも国営だがニッポンの旧郵政省とは経営の原理原則が違う。郵便料金などは全国統一だが、現場の仕事内容や職員の待遇は各局によって違う。不在中にホノルルの我が家宛の郵便物は大阪まで無料で転送してくれる。これが国営郵便のサービスなのだ。一方、ハワイに帰ったあとで大阪の住まいに届いた郵便物は、次に来る日まで郵便受けに溜まったまま。これでは用心も悪い。

日本郵政も民営化記念に国際無料転送サービスを開始したらいかが?旧い社屋の保存に血道をあげる以上の国威掲揚になりますぞ。

(出典: デイリースポーツ 2009年4月23日)

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