英語VSニッポン語

いまホノルルでは、衛星中継で送られてくるNHKニュース、国会中継、大相撲中継、朝の連ドラなどを、オンタイムで見ることができる。海外向けの番組のなかには、英語とニッポン語の2カ国語で報道されるニュースがあり、英語放送にはニッポン語の同時通訳がつく。そんな番組を見ているうちに、興味のある発見をした。

英語で読み上げられるニュースを同時通訳するアナウンサーのニッポン語は、聞いていても息切れがするほど早口なのだ。それでも英語ニュースの進行には追いつかない。アナウンサーは普通のスピードの英語を話しているのに、早口のニッポン語が追いつけないのはなぜだろうと考えるうちに、思い当たる節があった。

アイオワ大学で私が受け持った授業は、120分間という限られた時間内に、20に余る小児外科疾患の外科治療の原理を医学生に教えることである。レントゲン写真や手術所見をスライドで見せながらの授業では、学生との質疑応答時間を含めてなお、時間に余裕があった。

ところが、ニッポンの大学から客員教授に招かれると、同じ時間内に同じスライドを使って同じスタイルでする授業が、3分の2も進まないうちに時間切れになってしまうのだ。

いまのニッポン語は、過剰すぎる冗語に犯されている。表現が遠まわしすぎて、伝達に時間がかかる。たとえば、英語だと「しなさい」の一言は「Do it」ですむ。ところがニッポン語では、「実行した方がよいのではないかなと、こういう風に思いますがいかがなものでしょうか」という長い表現を使う。

ニッポン語は英語と比べると、単位時間あたりに伝達する情報量が少ない。義務教育の年間授業日数は、アメリカの180日に対し、日本は210日と決められている。日数は多くても、授業中に教える知識の総量ではアメリカに負けているのでは?

(出典: デイリースポーツ)

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