拝啓 上村くにこ様

「男たちよ!」のコラムで、あなた様にずばりと切られる男の一人ではありますが、毎回、ふむふむ、なるほど、そのとおりと共感しながら愛読しております。先週10月28日の“あのガムと唾はいかがなものか”と題した玉文は、ララ物資で育った年代の人間として、とくに興味深く読みました。

ロッテは、パリーグペナントレースの2位でありながら、プレーオフという理不尽な仕組みのお蔭で日本シリーズに進出し、あなた様の大事なトラ軍団に4たてを喰らわせ、あげく日本一になった不届きものです。その憎きロッテを率いるボビーバレンタイン監督が、口をもぐもぐさせてはダッグアウトの床に唾をペッと吐く下品な仕草をご覧になって、「ロッテ憎けりゃガムまで憎い」というお気持ちになられたのには、察するに余るものがあります。

お言葉に逆らうようですが、ボビーが噛んでいたのは、多分、ガムならぬ噛みたばこでしょう。アメリカでは、スモーカーはなにかと肩身の狭い時代です。大リーガーの間では、口にいれて噛むだけで煙草の替わりになる噛みたばこが、「隠れた煙草」として重宝されております。ところが、噛みたばこを口にすると、何リットルもの唾が湧いてきます。飲み込みも出来ず、始末に困って、そこらに吐き散らすというわけです。

ガムといえば、わたしのアメリカンの友人たちは、押しなべて、子どもにガムを噛むのを禁じております。人前でガムを噛むのは、アメリカでも、そしてニッポンでも、マナーに外れるのは当然です。

住んでみて、アメリカの文化も価値観も、ララ物資の頃、GIが運んできたそれとは大層違うことを知りました。あの頃は、GIたちの仕草を見て、これがアメリカだと思いましたが、間違っていました。いま、アメリカから沖縄にきて、アメリカンの目でGIを観察し、この思いを確信しているところです。敬具

(出典: デイリースポーツ)

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