花火で占うホノルルの景気

去年のクリスマスには、何年かぶりに、ツリーをたてて灯をともし、七面鳥を焼いた。10キロを超える巨大な鳥を丸ごとオーブンに入れて待つこと8時間、表面がこんがり狐色になると食べごろだ。焼き立てのターキーにナイフをいれ、湯気の立つ白身や赤身を骨から外し、それぞれの皿に取り分けるのは男の仕事だ。

グレービーソースをたっぷりかけたマッシュドポテト、にんじん、サンド豆、とうもろこし、赤カブなどの温菜と一緒に盛り付けたターキーは、真っ赤な色の甘いクランベリーソースで食べると旨い。

数組の親しい友人を招いたクリスマスパーティは夜半過ぎるまで盛り上がった。だが、椰子の葉越しに見える太平洋を背景に、明日のゴルフの相談をするノースリーブやポロシャツ姿を見ていると、クリスマス気分はあせていく。

クリスマスといえば、アイオワで過ごした15年の間、毎年外は零下20度の凍りつくような雪景色、家の中では暖炉で燃える薪が、音をたててはじけていた。樅の生木のクリスマスツリーからは森の香りが漂い、ホワイトクリスマスのメロディを聴きながら、焼きあがるターキーの匂いに心は弾んだ。クリスマスは、やはり、北国にかぎる。

大晦日、今年最後の太陽が水平線に沈むのを待ちかねて爆竹が鳴り、そこここの家の庭から花火が打ち上げられる。今やホノルル名物となった家庭用の打ち上げ花火は100メートルほどしか上がらないが、それでもドン、シュッ、パッと本格的な順を踏む。打ち上げ花火のセットは8千ドル(約100万円)もするという。常人は手が出せないどころか、100万円を一晩で煙にするほどアホでもない。それでも我が家の町内には、100万円位痛くも痒くもない御大尽が何人も住んでいる。お蔭で100万円の打ち上げ花火を間近で見せてもらった。花火の数で景気を占ってみると、今年は確実に回復に向かっているようだ。

(出典: デイリースポーツ)

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